日本時間6月16日午前8時ごろ(メインカードは11時ごろ〜)に行われるUFC FightNigt。
そのメインカードに置かれているのが、日本が誇る期待の新星 平良達郎とアレックス・ペレスの試合です。
これまでUFCではランキング外の選手としか組まれていなかった平良選手ですが、今回はいきなりランキング5位との試合。ここに勝てば一気にタイトル挑戦が近づく大事な試合です。
この記事では、そんな平良達郎vsアレックス・ペレスの試合を何倍も楽しめるよう、見所解説・勝敗予想をしていきます。
選手紹介
まずは両選手のプロフィール紹介から。
平良達郎
経歴
小学校中学校で野球をやっていた平良選手。
中学校の野球のコーチが怖かったらしく、「高校の野球のコーチはもっと怖いのではないか」という恐怖から高校では野球部に入ることを諦め、15歳で総合格闘技を始めます。パラエストラ沖縄に入った理由は、当時平良選手の兄が通っていたからだそう。
少し前までは、レスリングや空手などのバックボーンがあって、後から総合格闘技を始める選手が多かったですが、平良選手は最近の若い世代に多い、初めから総合格闘技をやっていたパターンの選手ですね。言うならば総合格闘技がバックボーン。今後こういう選手はどんどん増えてくると思います。
そんな平良選手ですが、アマチュアでもすぐに頭角を表し、アマチュア修斗で10戦10勝。18歳でプロに昇格します。(平良選手はアマチュアの試合も、プロの試合も、プロで1戦だけやったキックボクシングの試合も全て負けたことがないという恐ろしい選手です…未だ公式戦負けなし)
修斗新人王決定トーナメントフライ級を全て1R1本勝ちで優勝すると、その後も6連勝。
現在RIZINでも活躍している福田龍彌選手が当時持っていた修斗世界フライ級タイトルに挑戦します。強豪の福田選手相手にも全く危なげない試合運びで1R三角締めで1本勝ち。修斗世界フライ級王者となります。
その後、見事UFCと契約。
UFCデビュー戦でカルロス・カンデラリオに判定勝利すると、2戦目でCJ・ベルガラ、3戦目でヘスス・アギラーに1本勝ち。
4戦目ではエドガー・チャイレスと対戦し、1Rでダウンをもらうなど苦戦するも、グラウンドで立て直し判定勝ち。
そしてUFC5戦目である前戦ではカルロス・ヘルナンデスに右ストレート→パウンドで2RKO勝ち。フライ級ランキング15位につけます。(現在は他の選手が下がった関係で13位までアップ)
これまではランキング外の選手との対戦でしたが、今回はいきなりランキング5位の選手との試合。そしてUFCメインカード。(日本人がUFCでメインを飾るのは岡見勇信以来なんと6年8ヶ月ぶり)
また、この試合に勝てば、水垣偉弥さんの持つ日本人UFC連勝記録である5連勝を超え、6連勝になるという、日本MMA界の記録がかかった試合でもあります。
もともとはランキング9位のティム・エリオットと対戦予定だったのですが、エリオットの怪我によりキャンセル。ランキング外のジョシュア・ヴァンに対戦相手が変更されましたが、さらに対戦カードがシャッフルされ、今回アレックス・ペレスとメインカードで決まりました。
ジョシュア・ヴァンも期待の若手であるため、ここで平良選手と潰しわせるのはやめておこうというUFCの思惑があったのでしょうが、いずれにせよ平良選手にとっては大チャンス。間違いなく今までで一番の強敵ですが、これに勝てば次はタイトル挑戦もあり得ます。
特徴
オールラウンドなんでもできる選手ですが、
特に素晴らしいと思うのはグラウンドでのコントロール力と極め力です。
相手をテイクダウンした後、パウンドでコツコツ削りながらポジションをキープし、徐々に良いポジションを取って極めを狙っていきます。このグラウンドコントロールの強さと、一瞬の隙を見つけて一気に極めに行って一本を取る極め力はまさに芸術的。
打撃も綺麗で、特に右ストレートがモーションも少なく、威力もあって素晴らしいですが、平良選手本人としてはやはり寝技の方により自信があるそう。
そして良い意味で若くて無敗の選手らしいイケイケ感がなく、試合運びが非常に冷静なのも魅力的。
とにかく全体的に隙がなく、まだまだ底を見せていない選手です。
↓修斗フライ級王者となった福田戦。最初のカーフに合わせたテイクダウンの速さにビビります。
↓直近のヘルナンデス戦。全局面で圧倒して最後はKO勝ち。
アレックス・ペレス
- 身長168cm
- リーチ165cm
- 32歳
- 33戦25勝(6KO 7SUB)8敗
- 現UFC世界フライ級ランキング5位
- SNSのリンク: Instagram
経歴
ペレスはメキシコ系アメリカ人で、8人兄弟です。
12歳で兄弟と一緒にレスリングを始め、大学2年生の時には地域チャンピオンと全米レスラーになりました。
ローカル団体で16勝4敗の好成績をおさめると、DWCS(有望選手のスカウトを目的としたUFCの大会。勝てばUFC契約に大きく近づく)に出場。1R1本勝ちを収め、UFCとの契約を勝ち取ります。
UFCではトップコンテンダーのジョセフ・ベナビデスに負けたものの、それ以外の試合は全て勝利し、UFC6勝1敗で2020年にデイブソン・フィゲイレードの持つフライ級タイトルに挑戦。
強烈な蹴りとシングルレッグテイクダウンで見せ場を作ったものの、フィゲイレードにカウンターのギロチンチョークをあっさりと極められ1R1本負け。
その後しばらく試合をせず、2022年にアレッシャンドリ・パントージャ(現王者)と試合をするもパントージャの勢いに飲まれ1Rネッククランクで1本負け。
この後また、2年近く試合間隔が空き、今年3月に無敗のプロスペクトであるムハンマド・モカエフと対戦。テイクダウンディフェンスで強さを見せるも、見せ場を作れず判定負け。
3連敗を喫しますが、約1ヶ月後、マネル・ケイプ欠場の代役としてマテウス・ニコラウと試合をし、2R右フックでKO勝ち。勢いと試合勘を取り戻し、平良選手との試合に臨みます。
(それにしても、2020年、2022年に1試合ずつしかしていないのに今年に入ってもう3試合目のペレス。ここかなり試合勘もフィジカルも戻ってきている様子なので不気味です…)
特徴
選手としての特徴は、強烈な左右のフックと右のローキック、そしてレスリングです。
打撃では若干前傾姿勢で、左右のフックを連打で打ちながら前に出てきます。パンチをまとめながら前に出てくるあのスタイルは独特で、初見だとやりづらそうです。前戦ではこれでランカーのニコラウをKOしていました。
さらに右の蹴りも非常に強力で、これまでカーフキックでKOした試合もあるほどです。
また、バックボーンであるレスリングも当然強く、特にテイクダウンディフェンスが素晴らしい。ダゲスタンレスラーであるモカエフ相手にもなかなかテイクダウンを許していませんでした。寝技の展開になるとあっさり一本を極められる試合もあり、対処に若干難がありますが、寝技の展開に持っていくまでが難しそうです。
打撃で一発があり、テイクダウンディフェンスも強い。平良選手にとって間違いなく過去最強の相手と言っていいでしょう。
↓右カーフでKOした試合
↓パントージャには敗北
見所解説
試合が本当に実現するのか
さて、この試合の見どころ解説ですが、
まず最初に注目したいのは「この試合が本当に実現するのか」です。
冗談ではなく本気です。
というのも、アレックス・ペレスは試合のキャンセルが多いことで有名なファイター。
なんとここ5年で11回試合のキャンセルをしています。
もちろん全てがペレスのせいではなく、相手都合によるキャンセルもあるのですが、ペレスの怪我や計量オーバーによるキャンセルが多いのも事実。
そして平良選手もUFCに入ってからほぼ毎試合キャンセルをくらっていることで有名です。これは全て相手都合。試合直前キャンセルのせいで1週間で2回減量したこともあります。
このように、試合キャンセルに見舞われることが非常に多い両者。この試合が本当に行われるのか、リングに二人が立つ瞬間まで目が離せません。
(6月15日追記)
無事両選手計量をパスしました!!
平良のアウトボクシングvsペレスのインファイト
次に試合の中身に移っていきますが、まず注目したいのは打撃の展開です。
打撃ではまず間違いなく、自分の距離で綺麗にアウトボクシングしたい平良選手と、ぐちゃぐちゃのインファイトにしたいペレスの構図になります。ここでどちらが自分の得意な展開に持っていけるのか。
平良選手は、体格差を活かして長いジャブや右ストレート、右のカーフキックと左のインローを蹴っていくでしょう。身長リーチで劣るペレスは、右カーフを要所で蹴りながら、隙を見てフックの連打で中に入っていくはずです。
サークリングとジャブが巧みな平良選手ならある程度は上手く捌けると思いますが、これまでの試合で顔面へのパンチやカーフキックが被弾する場面があったのも事実。ペレスはフックと右カーフが得意な選手なのでかなり怖いです。
平良のテイクダウンvsペレスのテイクダウンディフェンス
組みの展開では、平良選手のテイクダウンvsペレスのテイクダウンディフェンスに要注目です。
平良選手は確実に自分から組みに行くと思うので、そうなったときにペレスのテイクダウンディフェンスを攻略できるのか。
ペレスはモカエフとやった時も上手くバーピーしてなかなか足を取らせていなかったので、平良選手もなかなか厳しい戦いになると思います。
個人的には、福田戦で見せたような右のカーフに合わせてのテイクダウンか、首相撲で効かせて四つで組んでからのテイクダウン(もしくはバックに回る)が有効な気がします。
特に首相撲は、自分より小さくて前傾姿勢のペレスにはめちゃくちゃ効くと思っています。UFCではまだ見せていませんが、修斗では首相撲でもかなり強さを見せていた平良選手。UFCでも首相撲の引き出しを使ってその強さを発揮してほしいです。
テイクダウンをとって寝かせられると、平良選手有利と思っています。
終盤にもつれ込んだ時の両者のスタミナ
最後に注目したいのは、終盤までもつれ込んだ時の両者のスタミナです。
平良選手は、5Rマッチを行うのは初めて。さらにペレスとの5Rマッチに変更されたのが試合1ヶ月前なので、どこまで調整できているのか少し心配です。
対するペレスは、フィゲイレード戦で5Rマッチを1度経験していますが、その時は1Rでフィニッシュされてしまっています。
つまり、お互い4R以降を経験したことがありません。
そんな両者の、終盤までもつれ込んだ時のスタミナに注目です。
平良達郎vsアレックス・ペレスのオッズは?
さて、そんな平良選手vsアレックス・ペレスの試合ですが、6月15日現在のStakeのオッズは
- 平良達郎 1.46倍
- アレックス・ペレス 2.65倍
となっています。
思った以上に平良選手有利と見られていますね、実績的にはペレスの方が上ですが、無敗のプロスペクトである平良選手がそれほど評価されているということでしょうか。
勝敗予想
最後に、個人的な勝敗予想ですが、
平良選手の判定勝ち
にしておこうと思います。
相当厳しい戦いを強いられ、なんならダウンをもらう可能性もあると思いますが、平良選手が中に入ってくるペレスを上手く捌いて打撃の有効打で勝り、組みでの積極性も評価されて判定勝ちかなと。先述した通り、この試合はペレスの右カーフへの対処と首相撲が鍵になると思っています。
若干スタミナに不安はありますが、極限状態になった時の精神力の強さみたいなものは平良選手の方がペレスより数段上な気がします。ペレスより先に心が折れるイメージが湧かないです。
欲を言えば、序盤に相手のエンジンがかかり切る前に一本勝ちを期待しています。
なんにせよ、6月16日は全力で平良選手を応援します!試合はU-NEXTかUFC Fight Passで観ることができるので、ぜひ皆さんも一緒に応援しましょう。
※本ページの情報は2024年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
ご確認ください。
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