5月12日(日)に行われるワシル・ロマチェンコvsジョージ・カンボソス・ジュニアのIBF世界ライト級タイトルマッチ。
ロマチェンコの大ファンである筆者にとっては非常に楽しみな一戦です。
この記事では、ロマチェンコvsカンボソスの見所解説・勝敗予想をしていこうと思います。
それでは早速行きましょう。
選手紹介
まずは簡単に両選手の紹介から。
ワシル・ロマチェンコ
- 身長170cm
- リーチ166cm
- 36歳
- 20戦17勝11KO3敗
- 元WBO世界フェザー級王者
- 元WBO世界スーパーフェザー級王者
- 元WBAスーパー・WBC・WBO世界ライト級統一王者
日本でもおそらくファンが多いであろうロマチェンコ。ウクライナ人ボクサーです。
元々はアマチュアのトップ選手で、アマチュア戦績は脅威の397戦396勝1敗。オリンピックや世界選手権で数々の金メダルを獲得した後、プロに転向。
2戦目で体重超過&ローブローを連発してきたオルランド・サリドに僅差判定で敗れてしまっていますが、それ以外では順調に勝ち星を重ね、プロ転向わずか3戦目でフェザー級世界タイトルを獲得。7戦目スーパーフェザー級世界タイトルを獲得。12戦目でライト級世界タイトルを獲得と、プロの世界でもとんでもないキャリアを築いていきます。
一時はパウンドフォーパウンド1位にランクインするほどの評価を得ていたロマチェンコですが、プロ第16戦目、テオフィモ・ロペスとのライト級三団体統一戦でまさかの判定負けを喫してしまいます。
その後は日本人の中谷正義選手やライト級トップコンテンダーのリチャード・コミーらに勝利。
満を持して2023年にライト級四団体統一王者であるデヴィン・ヘイニーに挑戦。試合当日10kgの体重差がある中、若き絶対王者相手に全盛期さながらの闘いぶりを見せましたが、惜しくも判定負け。この試合はロマチェンコが勝っていたという声も多いですし、私もそう思いました。
今回は、ヘイニーに負けて以来、約1年ぶりの試合です。スーパーライト級に上げたヘイニーが返上したIBFタイトルをかけて戦います。
選手としての特徴は、唯一無二の華麗なテクニックとフットワーク。その戦い方はまさに芸術的で、一度見たら忘れられません。身体操作のレベルがボクシング以外のアスリート全体で考えても群を抜いています。
体格的にはライト級では明らかに小さく、本来はフェザー級あたりが適正のロマチェンコですが、ライト級で若くて大きいファイター相手に堂々やり合えているのは本当に凄すぎます。この超絶テクニックを持つロマチェンコだからこそできることです。
ジョージ・カンボソスJr
- 身長175cm
- リーチ173cm
- 30歳
- 23戦21勝10KO2敗
- 元WBAスーパー・IBF・WBO世界ライト級統一王者
対するカンボソスはここ数年で知名度が高まった選手です。
先ほども書きましたが、2021年にロマチェンコと戦って、不利な下馬評を覆し勝利し、ライト級三団体のベルトを獲得したテオフィモ・ロペス。そのロペスに勝ったのがカンボソスです。
ロマチェンコに勝ったロペスに勝っているわけで、物凄く強い選手のように思えますが、好不調の波が激しいロペスのせいで話がややこしくなっています(笑)。
ロペスとカンボソスの試合は、ロペスが完全にカンボソスのことを舐めており、大振りのパンチばかりになっていたところにカウンターを合わされ初回からダウンを奪われるという波乱の展開だったのです。この試合はロペスが終盤巻き返しましたが、逃げ切ったカンボソスが判定2-1で勝利しました。
その後、デヴィン・ヘイニーと地元オーストラリアでライト級4団体統一戦を行いますが0-3で判定負け。4ヶ月後にダイレクトリマッチをしますがさらに点差が開いた0-3判定負け。この2試合は完敗でした。
直近ではマキシ・ヒューズ相手に2-0の判定勝ちを収めましたが、マキシの勝ちだったのではないかという声もかなりあり、パフォーマンスはよくありませんでした。
曲がりなりにもロペスに勝つなど、凄いことは凄いのですが、トップのヘイニーにはしっかり負けているという、なかなか評価の難しいボクサーです。
これといった大きな特徴はないトータルファイターですが、強いて挙げるならカウンターのタイミング、ハンドスピード、気持ちの強さでしょうか。ロペスが雑過ぎたとはいえ、あの試合で見せたカウンターのタイミングは素晴らしかったです。
あと、個人的にカンボソスはボクサーの中でイケメンPFP1位だと思っています。
見所解説
ロマチェンコのコンディション
さて、見所ですが、まずはなんといってもロマチェンコのコンディションでしょう。
どこまで全盛期のロマに戻っているのか?
年齢的なことや、肩の怪我、そしてウクライナの戦争に徴兵されていたこともあり、パフォーマンスの低下が心配されているロマチェンコ。確かに、前々戦のオルティス戦ではあまりパフォーマンスが良くないように見えました。
しかし、自身初の四団体統一戦で気合が入っていた去年のデヴィン・ヘイニーとの試合では、全盛期の動きを取り戻したように見えました。ただ、明らかに休んでいる時間帯も多く、体力の衰えはあるのかなと少し感じました。
あれから一年後。もう現役生活は長くはない、とロマ自身語っていますが、今回の試合ではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。コンディションはどの程度作れているのか、そこに注目したいです。
ロマの美しいボクシングをまだまだ見ていたいので、良いコンディションで試合ができることを強く願っています。
カンボソスのサウスポー耐性
続いての見所は、カンボソスのサウスポー耐性です。
カンボソスがプロでサウスポーと対戦するのは(BoxRecで調べた限りでは)ロマチェンコで二人目。圧倒的にサウスポーとの対戦経験が少ないのです。
前回のヒューズ戦が(おそらく)プロで初めてのサウスポーとの対戦でしたが、動きが良くありませんでした。対サウスポーで最も大事なポジション取りで負けており、かなり危ないタイミングで相手の左パンチをもらっていました。
カンボソスはオーストラリア人ファイター。先日武居由樹選手と対戦したモロニーもオーストラリア人ですが、オーストラリアのボクサーは全体的にサウスポーが苦手なのかな?と思ってしまいます。
モロニーのスパーリングパートナーとして呼ばれた堤聖也選手も、以下の動画(12:30頃〜)で、むこうではサウスポーの扱いが明日のジョーの価値観だと言っていました(笑)
おそらくオーストラリアでは、土地柄なのか環境的にサウスポーの数が非常に少なく、試合やスパーをする機会がほとんどないのでしょうね。(逆に日本はサウスポーの割合が世界的に見てかなり多いらしいです。)
以上の理由から、サウスポーを苦手としている可能性が高いカンボソス。
そんなカンボソスが、歴代最高のテクニシャンサウスポーと言ってもいいロマチェンコ相手に、どんな戦いを見せるのかに注目です。
ロマチェンコvsカンボソスのオッズは?
ロマチェンコvsカンボソスのオッズですが、
この記事を書いている5月11日時点のStake.comのオッズは、
- ロマチェンコ 1.14
- カンボソス 5.80
となっています。
世間的にもかなりロマチェンコ有利と見られていますね。
これまで戦ってきた相手や見せてきたパフォーマンスを見ても、このオッズは納得です。
勝敗予想
さて、最後に個人的な勝敗予想ですが、
ロマチェンコの大差判定勝ち
にしておこうと思います。
やはり、一時はパウンドフォーパウンド1位にまで輝いたロマと、グッドファイターのカンボソスではロマ有利と言わざるを得ないでしょう。
衰えはあるとはいえ、パワーレス気味のカンボソス相手に苦戦するイメージは全く湧きません。今回もきっと変幻自在のフットワークとコンビネーションで圧倒してくれるはず。近年得意としているクリンチ際のワンインチパンチも火を吹きそうです。
全盛期のロマチェンコなら、中盤以降でTKO勝ちしていたと思いますが、最近はスタミナのせいか以前ほど手数が多くない印象なので、KOは難しいかなと思っています。予想するなら大差判定勝ちかなと。
今週末の試合が楽しみです。日本では、WOWWOWのエキサイトマッチで見ることができます。
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