いよいよ5月6日に迫った東京ドームにて行われるマイク・タイソン以来のボクシング興業。
そのメインカードとして行われるのが井上尚弥vsルイス・ネリのスーパーバンタム級四団体統一戦です。
世間的には圧倒的にルイス・ネリが有利と言われていますが、
この記事では、ボクシング経験者かつ大のボクシングオタクの私が、試合の見所解説・勝敗予想をしていきたいと思います。
この記事を読んで、試合がより楽しみになれば嬉しいです。それでは早速いきましょう。
選手紹介
まずは両選手のプロフィールから。
井上尚弥
- 26戦26勝23KO無敗
- 身長165cm
- リーチ171cm
- 31歳
- 現スーパーバンタム級四団体統一王者
- 元バンタム級四団体統一王者
- 元WBO世界スーパーフライ級王者
- 元WBC世界ライトフライ級王者
井上尚弥については今更紹介するまでもないかもしれませんが、こうしてみると改めて凄い経歴ですね。
小学生の頃からボクシングを始め、アマチュアでも実績を残し、鳴物入りでプロに転向。プロわずか6戦目でライトフライ級の世界タイトルを獲得。
その後スーパーフライ級に階級を上げ、初戦でいきなり当時の絶対王者オマール・ナルバエスに挑戦。キャリアで一度もダウンしたことのないナルバエス相手に2Rで計4度のダウンを奪いKO勝ち。
そこからはスーパーフライ級で防衛を重ねた後、バンタム級に転向し、WBSSトーナメントに出場。決勝でノニト・ドネアに苦戦するも優勝し、その後ドネアとの再戦やポール・バトラー戦を経てバンタム級で四団体統一。
2023年からスーパーバンタム級に転向し、いきなり階級最強と言われていたスティーブン・フルトンに挑戦。終始圧倒して8RKO勝ちを収め、前戦ではデイフェンシブなマーロン・タパレス相手にも10R削りに削ってKO勝ち。ボクシング史上二人目の、2階級での四団体統一という偉業を成し遂げました。
本当に漫画みたいなキャリアで、彼の全盛期をこの目で見れていることが幸せです。
私が解説するのもおこがましいですが、選手としての特徴を端的に表すなら、
ボクサーとしての圧倒的な完成度の高さ・隙のなさでしょうか。
パンチ力・スピード・テクニック・ディフェンス力・スタミナ・メンタル、どれをとっても圧倒的で、他の選手より頭3つくらい抜けています。驚異的なフィジカルと、基本を究極に研ぎ澄ましたボクシング技術は本当に見ていて惚れ惚れします。
年齢も31歳と全盛期。どのパンチでも倒せる。一発もあるしコンビネーションもある。自分から攻めることもカウンターを取ることもできる。それに加えてフットワークやディフェンス、メンタルも超一流。ちょっとこの階級では負けるところが想像つかない選手です。
井上尚弥KO集↓
ルイス・ネリ
- 36戦35勝27KO1敗
- 身長165cm
- リーチ169cm
- 29歳
- 元WBC世界スーパーバンタム級王者
- 元WBCバンタム級王者
対するルイス・ネリは、日本で悪童として知られるメキシコ人ボクサー。
一度ブランドン・フィゲロアという選手に負けていますが、この選手は長身でガンガン撃ち合ってくるゾンビファイター。スーパーバンタム級で2団体統一しており、現在はフェザー級でも暫定王者となるなどかなり強い選手です。ネリは初回から真っ向打ち合って、7Rにボディで倒されてしまっています。
しかしそれ以外では全勝。日本では、山中慎介と2回対戦して、一度目はドーピング、二度目は体重超過を犯してKO勝ちし、山中を引退に追いやったのが有名です。
この件でネリのことを嫌うボクシングファンはかなり多いですが、ボクサーとしてかなり強いことは否定できません。直近では、サルダールやホバニシアンといった強豪相手にKO勝ちを収めています。
特徴はサウスポーのL字構えと回転力の高い攻撃。
右手を下ろしたサウスポーのL字構えからバックステップや顔を後ろに倒してパンチを避け、隙を見て回転力の高い左右のフックを打ってきます。大振りのパンチばかりに目が行きますが、前の手の使い方や緩急も上手く、大振りを当てるための技術も持っている選手です。
井上選手や大橋会長も「ネリは過去一番怖い相手」と言っているように、危険な相手であることは間違いありません。
ネリvsホバニシアンのハイライト↓
注目ポイント
序盤のネリの出方
まずこの試合で注目したいのは、序盤にネリがどう出てくるか?です。
好戦的ですが、1Rは意外と冷静に相手を見ることも多いネリ。ただ、それを井上尚弥相手にもやるのかどうか。
中間距離の攻防ではまずネリは井上に勝てないと思います。もし勝つとしたら、序盤、井上が慣れる前に乱打戦に持ち込むしかない。それは本人もわかっているはず。
それを踏まえて、序盤からネリが仕掛けるのか仕掛けないのか。仕掛けないとしたら、冷静に相手を見ているだけなのか、それとも井上のパワーにビビって出れないだけなのか。
この辺りにまずは注目したいと思います。
井上尚弥がどれくらい積極的にKOを狙いに行くか
個人的にもう一つ注目したいのは、どれくらい井上がどれくらい積極的にKOを狙いに行くか?です。
KO狙いに行くのは当たり前だろ、と思われる方もいるかもしれませんが、少し説明します。
ここ最近の井上選手の試合を見ていると、どうもリスクを犯してKOを狙い過ぎている気がするのです。ポイントを取っているから流す、少し休むといったことを全くしないのです。
実際、タパレス戦やフルトン戦なんかでは、倒そうとして攻め急ぐあまり、逆に危ないタイミングでカウンターをもらっている場面もありました。もう少しパンチ力のある相手なら倒れていてもおかしくなかったと思います。
自分が攻撃している時は、どうしてもしても隙は生まれてしまうものです。倒そうとするならなおさら。井上選手は、KOしようという気持ちが強過ぎて、それが逆に相手に付け入る隙を与えてしまっているような気がします。
井上「必ずKOする」
相手「判定でもなんでもいいからとにかく勝つ」
ここ数試合は常にこの構図です。いわば井上尚弥は必ずKOを狙うという縛りプレイの状態でボクシングをしているので、何がなんでも勝てばいいと思っている相手より不利な状況なのです。
今回の試合は、井上自身、危険度は過去最高と認識しているネリ。そのネリ相手にも、これまでと同じようにリスクをとってKOを狙いに行くのかに注目したいです。
勝敗予想
さて、個人的な勝敗予想ですが、今回は
井上尚弥の中盤KO勝ち
にしておこうと思います。
ネリがいかに危険な相手とはいえ、やはり井上の勝ちは揺るがないでしょう。序盤は慎重に行くと思いますが、中盤以降、ネリの動きを見切った井上が、パヤノ戦で見せたようなサウスポーの中を通す右ストレートでダウンを取るのではないかと。
ネリの攻撃力は確かに驚異ですが、相性的に考えても井上尚弥相手にはかなり部が悪いでしょう。
個人的には、井上選手に勝つためには次の条件が必要だと思います。
- 一発で倒せるパンチ力がある
- 井上のジャブをもらわない技術がある
- ハイガードで井上の攻撃をある程度耐えられる
基本的にボクシングの技術・完成度で井上選手に勝つのは無理なので、耐えてカウンターで一発KOを狙うしかないと思います。そのためには、一発でKOできるパンチ力があることと、井上の攻撃の起点であるジャブをもらわないこと、そしてガードを固めてラッシュをある程度耐えられることが必要です。
ネリの過去の試合を見ると、この3つの条件どれにも当てはまっていません。
パンチ力はありますが、一発で倒すというよりは連打の中で倒すタイプですし、相手のジャブを浅く被弾することが多いです。
また、基本的に前の手を下げており、ガードを固めないので井上のラッシュを耐えることも難しいと思います。ディフェンスはバックステップでやスウェーが主体ですが、井上は追い足がもの凄いので、捕まってしまうでしょう。
以上の理由から、やはり何度考えても中盤で井上尚弥のKO勝ちのイメージしか湧きません。
この記事が、少しでも参考になれば幸いです。
武居由樹vsジェイソン・モロニーの記事はこちら
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